コンフェデレーションズカップ 日本VSブラジル

2014年4月10日

あっという間のことだった、前半3分にネイマールが見事なゴールを決める
それまでの数分間のプレーを見るに日本もブラジルも硬さが残っていてボールが落ち着かず、ちょっと落ち着けよと思った矢先の出来事でありました
もしこのゴールがなくとも前半15分までブラジルは怒涛の攻撃をしてきたことでしょう、そして無理矢理にでも先制点を奪いたがるわけです
なぜならば先制点こそが相手から主導権を奪い取るもっとも有効な手段であることをサッカー巧者のブラジルはよく知っているからです

サッカーの試合にもしという言葉は使えないかと思いますが、もし前半15分まで無失点でいられたならば
ゲームプラン通りにいかなくなったブラジルの方が戸惑っていたことでしょう
前述しておりますが、15分までは怒涛の攻撃をしてきたでしょうから本当に運がよかった程度の話でしか仮定は成り立ちませんが
若くまだ未完成だと言われ続けたチームが、ホームで行われる大きな大会の第一戦で硬くなっていたのです
もしも、この仮定のように思うように先制点が取れなかったら
自滅していたのはブラジルの方かも知れなかったわけです

結果とするならば、ネイマールのあのゴールは素晴らしく、だれかのミスというよりは相手の方が一枚上手と言わざるを得ない素晴らしいモノでしたのでブラジルがゲームプラン通りに試合を進めます
1点リードした余裕は彼らの自信に繋がり、硬さは抜け、しばらくは怒涛の攻めを継続するも次第に試合を落ち着かせ、そして日本を受け流しながら時に素早いカウンターを繰り出す
日本の前半は本当に酷いモノで完全にブラジルの手のひらで踊らされ続け、自分たちがリスクを取って攻めるのかそれとも追加点を取られないように守りを重視しながら後半まで持たせるのか、自分たちではどうにも打開できない状況のまま前半が終わります
実況がチャンスを作っただの言ってましたがブラジルディフェンダーが完全に裏をかかれたようなシーンなんてどこにありました?
ただ幸運なことに1点差のままで後半に入れたことはまだ希望があったわけです

後半開始、あきらかに硬さの抜けた日本は冒頭から攻めの姿勢を見せます
ブラジルにしてみたら当然予測済みで守ってカウンターを繰り返すだけで十分に勝てるわけですから日本の攻撃を受けに回ります
歴代ブラジルの強さというのはその攻撃力ばかりを強調されますが、実は守備力、特に真中の選手の守備力に依存していて、そこの守備から発生するカウンターがもっとも強力な武器なんです
ブラジルのサッカーに欠かせないのは強烈な2枚のセンターバックと献身的な2枚のボランチです、攻撃のチームであるというイメージが強いのですが実にこの守備に支えられ、相手ボールを奪ったら的確に相手がリスクを負っている部分を逆手に取ってカウンターを仕掛けて勝つというのが彼らの王道ゲームプランなのです
だからこそ先制点を必死に奪いに来ますし、先制点を取ったら相手は出て来ざるを得ないので得意分野に持ち込み、カウンターで調理しちゃうわけです
基礎技術がしっかりしているのでパスミスもトラップミスもありません、攻撃の選手だけでなくキーパーに至るまで、1対1で相手を抜くくらいのフェイントの技術やボールをキープする技術をしっかり持った選手たちが、きっちりと自分たちの戦術を理解してそれをミスなく遂行するのです、そりゃ強い
時にこのゲームプランがうまくいかずに自滅することもしばしばなのですが、この試合ではすでに前半3分の時点でブラジルのゲームプランにハマってしまったわけで
それを覆すには後半早い時間に同点に追いつくしかないわけです
後半開始早々の日本はとても勇敢に攻めようとしておりました、しかし後半もまた3分で失点してしまいます
もうがっくりです
見ているだけのおれでもがっくりきたのですからピッチ上で戦っている選手たちはもっとがっくりきたのかもしれません

その後のブラジルは明らかにペースダウンをします
ベース戦略は守ってカウンターですが、カウンターのスピードと迫力が減っていきます
そうです、休んでいるんです
2点差あって日本の攻撃もしっかりと受け流せると踏んだ上で彼らは休んでいるのです
日本はなぜか攻めきれません、2点を失ってなお攻めるか守るか迷っているかのような中途半端な攻めです、というかピッチ上の選手が一番理解していたのでしょう、きっちり守りを固めてカウンターを狙っているブラジル相手に手も足も出ないと
日本代表の選手たちも世界で活躍する選手ばかりです、ブラジル代表の選手を相手するのだって初めてではないはずで、個人と個人の対決ならば他の国のエースとも対決しているのでしょうからそれほどイメージと大きく違ったということはないと思うのです
しかしこのゲームプランの罠には本当に大きな差を感じたのではないでしょうか
主導権を完全に相手に握られたまま戦い続けていると、本当に手も足も出ないと感じさせられたことでしょう
次々と選手交代をするのはブラジルの方です、初戦で勝てたと思ったので彼らは多くの選手にコンフェデレーションズカップという大舞台を慣れてもらおうと選手を次々と送り出しますが、彼らの基本戦略はまったくブレません
フリーキックからゴール前でもたつき、最後は前田がシュートをしましたが、きっとブラジルDFがもっとも慌てたのはこの試合を通じてあそこだけではなかったのでしょうか
日本の選手も根性を見せてくれたシーンですが、残念ながら得点には結び付けられませんでしたね

さて、休んでいたブラジルの最後の仕上げは攻め疲れた相手をまたカウンターで料理することです
もうリスクは取りません、基本的には守備が基本でありますので前掛かりになった相手の裏をついて間延びさせることで攻撃の迫力を削り、あわよくば追加点を取って試合を仕上げるということです
この時間帯になると内田も長友も上がり気味になりますのでその裏が開いているわけです、そこをパスミスもトラップミスもなく淡々と粛々と突き続けるのです
日本としてはここはもう割り切るしかないのです、3−0にされてもいいからおもいっきり攻めるのか、グループリーグで戦っているので得失点差を睨んで失点しないように戦うのか
日本の選択肢は1点を取るという強い意志を感じます、監督の選手起用や選手の動きを見てもそれを読み取れますが、守りに重点を置きながらもしっかりと裏を狙うゲームプランを遂行中のブラジルの術中からは抜けだせませんでした
3点目を決められたのはもうこれは仕方のないことです、日本はリスクを取って攻め続け、攻めあぐね、打開できないままにカウンターを食らったわけですからリスクの代償です
しかしながらコンフェデレーションズカップは親善試合ではなくれっきとした大会です、グループリーグを戦う上において1失点と3失点では大きく意味合いが変わる場合もあるわけです
そういう意味でもブラジルは3点も取れて余裕がでましたし、日本はただの負けではなく-3を背負ったという意味ではかなり完敗です

アジアW杯予選からここしばらく、本当に精彩を欠く試合が積み重ねられております
世界中で選手がプレーをしているのでコンディションが保ちにくいということもあるのでしょうし、一緒に練習をする時間もあまり取れないので熟練度が上がらないこともあるのかもしれませんが、本気の相手と試合をした時に気合負けしているように見えてならないのです
思えば南ア大会の時も直前まで「攻めて勝つサッカー」を目指していたのにうまくいかず、守りから入ってカウンターを決めるチームにしてベスト16に勝ち残ったわけですが、あの頃からこの課題が残ったまま解消できていませんね
日本のスタイルとはなんなのか、本気の相手と戦った時に出る脆さはなんなのか、選手個人の技量も経験も気合いも史上最高の日本代表であるにも関わらず解決されないこの問題の根幹は一体どこにあるのか

「世界で一番になる。」
と多くの選手が公言するようになりましたが、ここ数試合の内容を見て大笑いしてやりましょう、不満をぶつけてやりましょう
「こんなサッカーしてて世界で戦えるのか、馬鹿野郎!」
ブラジル相手に見事に完敗しました、いいところなどどこにもありませんでした
プレッシャーはブラジルの方が感じていたはずなのに完全に相手ペースで試合を進められ、一泡吹かせることもできず、結果としては3点も献上し相手のグループリーグ突破を支援してしまったわけですから
我々は深夜から早朝にかけてテレビにかじりついていたわけです、ピッチ上でどうしたらいいかわからないようなプレーを見せ続けられたら怒ってもいいんです
「ピッチ上に立ったら日本中、世界中がお前らのプレーの一挙手一投足を逃さず見てるんだから、公言通りしっかり勝つプレーしろ!」
と激を飛ばしてやりたいと思うのです

コンフェデレーションズカップは親善試合ではありません、立派な公式の大会です
日本代表は招待されてお客様として参加しているわけではありません、アジア代表として戦いに行っているのだということを思い出していただきたい
我々が見たいのは戦う日本代表であるということをもう一度思い出していただいて次戦に望んでいただきたいと思うのです
そして次の試合こそ自分達らしい戦いをしておくれよ!